判断基準と対策について

労働者派遣事業を行う場合、労働需給の調整システムのひとつとして考えられているため、当該労働派遣事業を適正に機能するための遂行能力が求められ、一定以上の財産的基礎等を確保することが必要になります。

労働派遣事業の新規許可及び許可の有効期間の更新に係る申請が許可される条件は以下の3つになります。

①基準資産要件

 資産(繰延資産及び営業権を除く。)の総額から負債の総額を控除した額(以下「基準資産額」という。)が2,000万円に当該事業主が一般労働者派遣事業を行う(ことを予定する)事業所の数を乗じた額以上であること。(労働者派遣事業関係業務取扱要領)

(解説)
 資本金や過去の利益の蓄積を合わせて2,000万円以上が必要になります。

(対策例)
 増資等の資本増強策が必要となります。

②負債比率要件

 ①の基準資産額が、負債の総額の7分の1以上であること。(労働者派遣事業関係業務取扱要領)

(解説)
 借入などを通じて資金繰りは安定していたとしても、負債の比率が高い場合は財産的基盤が不安定と判断されることになります。例えば、基準資産が2,000万円の場合1億4,000万円以上の借入がある場合は負債比率の要件を満たさなくなります。

(対策例)
 増資等の資本増強策が必要となります。
 ③の要件を満たし、かつ、資金繰りに影響のない範囲で借入を返済することも考えられます。

③現金預金要件

 事業資金として自己名義の現金・預金の額が1,500万円に当該事業主が一般労働者派遣事業を行う(ことを予定する)事業所の数を乗じた額以上であること。

(解説)
 一定の現金・預金を手元に用意しておく必要があります。

(対策例)
 ②の条件を満たす範囲において借入を実施するか、資本の増強する、あるいは、有価証券等の資産を持っている場合には売却するなどの対策が考えられます。